味覚障害とは
味を感じることを味覚(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)と言い、それを感知するのが舌です。味覚障害とは、
- 「全く味がしない」
- 「何を食べてもおいしいと感じない」
- 「何も食べていないのに変な味を感じる」
など味の変化や違和感を覚える状態を言います。
人の舌の表面には「味蕾」と呼ばれるつぼみ型の細胞がありその中に「味細胞」という小さな細胞が存在しています。この味細胞が食べ物の情報をキャッチしたものを脳へ送り味を認識していますがこのプロセスの中で何らかの障害が起きているため味覚障害が起きます。
味覚障害の主な症状
- 味覚減退…味を感じにくくなる。
- 味覚消失…味が全く分からない。
- 自発性異常味覚…何も食べていないのに苦味、渋みなどを感じる。
- 解離性味覚障害…5つの味覚のうち1〜2 種類識別できない。
- 異味症、味覚錯誤…甘いものを苦いと感じたり、塩味を酸味や苦みと感じる。
- 味覚過敏…薄味のものでも濃く感じる。
味覚障害の原因
- 食生活の偏りなどによる栄養(亜鉛)不足。
- 関節リウマチ、高血圧、糖尿病、鎮痛解熱剤、抗アレルギー薬などの副作用。
- 糖尿病・慢性腎不全・内分泌機能の低下などによるもの。
- 舌炎や風邪による咽頭炎、口腔、のどの病気によるもの。
- 味を伝える神経障害によるもの。
- 嗅覚障害による味覚の低下。
- 高齢による味覚減退。
- ストレスなど心因性によるもの。
- 新型コロナウイルス後遺症によるもの。
などさまざまな原因がありますが、味覚障害の背後に病気が隠れている場合もあり、複数の原因が重なり影響し合っている場合もあります。
味覚障害の治療
亜鉛不足により味覚神経の反応が低下することが報告されておりますので、基本的には亜鉛を処方します。治療に即効性はありませんが、1〜6 ヵ月程服用する必要があります。
また、原因が特定されない場合や新型コロナ後遺症の疑いによる味覚障害については漢方を用いて治療を行います。
当院では、疲労回復や胃腸の働きを整える補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や人参養栄湯(ようえいとう)を処方しております。
その他にも普段の食事で亜鉛を多く取り入れる食事を心がけてください。
- <亜鉛を多く含む食品>
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- ごま
- 卵(卵⻩)
- うなぎ
- 牛乳、チーズ
- 豆腐
- 牡蠣
- 海藻
受診の際お気をつけいただきたいこと
味覚障害は薬の副作用の場合がありますので、受診の際は服用中の薬剤があれば必ず申し出てください。
また、ちくのう症による嗅覚障害が原因となっている味覚の低下の場合は、先に原因となっている疾患を治療することにより症状が改善する場合がありますので気になる症状があればお申し出ください。