扁桃炎とは
扁桃は、鼻や口を経て体内へ細菌などの病原体の侵入を防ぐためのリンパ組織で、口蓋垂(のどちんこ)の両側にある器官のことを言います。この部位が疲労や風邪などによって抵抗力が低下したことをきっかけにウイルスや細菌に感染し、扁桃に炎症が起きている状態を扁桃炎と言います。
炎症によって、扁桃に腫れや痛みなどがみられるようになりますが、それ以外にも発熱(38℃以上)、全身の倦怠感、嚥下痛、首のリンパ節に腫れといった症状もみられます。なお扁桃炎が悪化すると、扁桃の周囲に炎症が拡大(扁桃周囲炎)、あるいは膿が溜まる(扁桃周囲膿瘍)ということもあります。
発症の原因については、先にも述べたように細菌やウイルスですが、口やのどが乾燥している、口内が傷ついた状態だとこれらは繁殖しやすくなります。なお原因となる細菌やウイルスですが、A群β溶連菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルスなどです。
診断・治療について
診断をつける場合、視診によって口蓋扁桃の腫れや白苔を確認することで診断がつくこともありますが、同疾患の原因を調べるため、血液や尿検査、細菌を培養することもあります。
治療に関してですが、発症の原因がウイルス性の場合は対症療法となります。この場合、主に炎症を抑える消炎鎮痛薬(NSAIDs)を使用します。また細菌が原因であれば、抗菌薬を投与するほか、対症療法(解熱剤、消炎鎮痛薬)も行います。
このほか人によっては、扁桃に炎症を繰り返す慢性扁桃炎を起こすことがあります。このような状態になると扁桃そのものを切除する手術療法が必要となります。